空の青さをとぷりと地面に落としてしまった
見わたすかぎりのネモフィラ畑
きっとここでは
ネモフィラ以外は生きてゆけないのだろう


風にさざめきつづける青い絨毯のなかで
僕はひとりだった
ただ風に揺られるために生きられないこと
ぬるい日常のゼリーから出られないこと





やがてネモフィラが西日におおわれ
あたりは一層まぼろしのように感じられた
何千の青い瞳にみつめられ僕は
彼らの下で生きる黒い土になりたかった











追記‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
ひたちのネモフィラ、見に行ってみたいです。
でもきっと人が五億人くらいいるでしょうね、見頃には...
ひとごみいやだ...

旅の前に
鞄を荷物で満たしてはいけない
君に必要なものは
みんな向うで待っているさ


こんな機会ないからと
カメラばかりを構えてはいけない
君がほんとに見たものだけが
昨日のように蘇るのさ


言葉が分からないからと
下を向いていてはいけない
君に必要なのは
こんにちは、おいしい、ありがとうの三つだけ


きっと悲しいだけだからと
旅先の恋を蔑ろにしてはいけない
運命だから逢えたのさ
こんな地球の裏側で


旅の終わりに
さよならと言ってはいけない
さよならだけが人生なんて
そんなの君には似合わないのさ








追記‐‐‐‐‐‐‐
旅行、楽しいですよね。二月にドイツとイタリアへ行ったのですが、地震を想定していない建築物を観て圧倒されました。
ケルン大聖堂でかい。
イタリアのピザでかい。

伊豆のホテルの
大きな窓から、
一日中海を眺めていた。


   こんなにたくさんの塩水
   一体どこから


   あの遠くの沖に見える岩
   潮に溺れてしまいそう


波に濡れた砂浜には
ぺちゃりと音がしそうな足跡
五月の海はまだ少し冷たいだろう


   あの波の一滴になれたら
   あの砂の一粒になれたら


   潮風に揺れる松葉になれたら
   松葉を揺らす潮風になれたら


数えきれぬ自然の色彩に囲まれ
僕はいつまでも息ができず
そうして僕ひとりだけが
誰にも見えない無色になってしまった








追記‐‐‐‐‐‐‐
静岡っていいところですよね。大きいし。
僕は泳げないのですが、海を見るのはとても好きです。
見るのは、ね。