空 白く煙り始め
少しずつ空気が水を含んでゆく
じきに雨が降る


窓をかたかたと揺らす雨音
庭の芝はすでに濡れ一層あおく
花壇の土は一身に水を吸っていた
花だけが寂しげにうつむく


雨はひたすら穏やかだったが
しかし確実に何かを蝕んでいった
それは君の幸せを願う私の心であり
花を慈しむ君の優しさだった


僕は君にふたさじの砂糖と
少しレモンをしぼった紅茶を差し出す
君の心が少しでも
雨を忘れ 花を忘れ
君を見つめる僕のことを思ってくれるように