ぼんやりと薄日のぼり
きりりと冷えた窓を開ける
流れ込む金木犀の香り
僕をかすかにふるわせる凛とした朝


日が昇り天は気を失うほど高く
まばらにちぎれた無数の雲 そのひとつさえ掴めそうにない
むせ返るような原色の日々はすでに消え去り
すっかり色の抜けてしまった水色の空


瞬きする間に日は傾きそして朱く
すべてのものがじんじんと照らされている
その中にとんぼを追うひとりの子ども
遠くまで来すぎて帰り道を失ったいつかの僕













追記‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
秋、もの悲しい季節ですね。
まだ夏も来てないけど秋が恋しくて書きました。
金木犀の飽きるような香り、かぎたい。

早春の庭に来て
真白に紅に綻ぶる
漆の黒く光るよな
枝の先にて華揺るる


の香に誘はれ
未だ雪残る土を踏み
ふるりとに近寄れば
じわり目に染む色の海


姿変はらぬなれど
散りゆくさだめは辛からむ
涙こぼさぬなれど
雨に濡れるは憂しからむ


やがて風来て見初め
ひゅるると庭から連れさらる
を追う術もなく
また寒風に 身を切らる...










追記‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
梅の木、植えたい。
庭なしアパートだけど、
梅の木、植えたい。

一定のリズムで風にゆれるカーテン
うすいレースの向こうに見えるもや
5月にしてはひんやりとした空気が
僕の部屋をのぞいていく


少しずつ風はつよくなり
干したズボンはあわててハンガーにしがみつく
ズボンを助けに窓の外へ手を伸ばすと
アスファルトから昨日の雨のにおいがした


今にもぽつりときそうではあったが
僕は窓を開けたままにしておいた
冷たい風にさわっていたくて
そしてそのまま攫われたくて


ついにぱたぱた雨が降りだす
窓のわずかな隙間から雨が部屋に滑りこむ
雨粒をはこぶ風をつかもうと
僕はいつまでも窓を閉められないでいた











追記‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
雨、窓から見るの好きです。台風とかも部屋から見る限りは好きです。
そのうち梅雨になりますが、湿っぽいと暑くて疲れちゃいますね。
髪もぺとぺとになるし。